# さらば弁護士鉄道065/平成11年(わ)第238号傷害被告事件刑事裁判の犯罪性 ### 2017年05月に中日新聞の調査報道キャンペーンが始まっていたという湖東記念病院事件
- 滋賀・呼吸器事件「冤罪」暴いた記者が問う"歪み" 7回の有罪判決も調査報道が明らかにした真実 | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/611672?page=2
上記のページに表があて、入院患者の死亡が2003年5月、殺人罪での逮捕・起訴が2004年4月、2005年11月に大津地裁で懲役12年の有罪判決、07年に最高裁で棄却確定とあります。
本日の7月25日は、午前中に、久しぶりにフリーライター高橋ユキ氏のTwitterタイムラインを見ていて、そこでずいぶん必死ぶりに、湖東記念病院事件に関する記事を見かけていました。京都新聞の記事だったと思います。
図書館に来てから思いつきで、湖東記念病院事件の検索をして、たまたま見つけたのが上記の記事になりますが、まったく初めて知るような内容となっています。
この湖東記念病院事件は、両親が滋賀県内の弁護士を探し回り、井戸謙一弁護士と出会えたことで、京都の刑事弁護に熱心な若手弁護士の協力もあって再審請求から再審開始、そして再審無罪になったというストーリーだけと思っていました。
熱心に取材をする確か女性の記者がいて、この湖東記念病院事件の連載記事を書いていたという記憶はありますが、中日新聞だったのか記憶ははっきりしません。4,5年経つような気がしますが、再審無罪の判決から1年ほど経って報道が落ち着いた頃だったような気もします。
この会の記事には、表の中で、2010年に第1次再審請求(11年8月に最高裁が棄却)、2012年に第2次再審請求とあります。第3次が出てこないので、この第2次再審請求が2017年12月に大阪高裁で再審開始決定になったようです。
和歌山刑務所の出所が、12月に再審開始決定のあった2017年の7月となっていて、満期出所とあります。
テレビのバラエティー系番組の再現ビデオで、再審請求前の刑事裁判の弁護人を見たことはありますが、井戸謙一弁護士が出てくる前に、他の弁護士と関わりがあったという話は見ていないように思います。
2020年2月に再審公判が始まり、翌3月に再審で無罪判決とあります。もう5年ほど前に出ている再審無罪の判決のように思っていましたが、まだ3年4ヶ月ぐらいだと今回気がつきました。
中日新聞の記事と思いながら読んでいましたが、ページのトップで確認すると東洋経済オンラインとなっていました。2022年8月18日の記事なのでやがて一年前です。
秦氏は当時、大型記者コラム「ニュースを問う」の担当デスク。秦氏は事前に、美香さんが獄中から出した家族宛ての手紙を角氏から示され、いくつか読んでいた。手紙は全部で350通あまり。封書1通につき便箋4~5枚、多いものは10枚もある。
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記事は5ページに分かれていますが、上記の引用は1ページ目になります。2016年12月に自宅を訪問し、表にはその半年後の2017年5月に、中日新聞の調査報道キャンペーンが始まるとあります。
10月までと記憶にあるのですが、たぶん2019年の10月まで北陸中日新聞の購読をしていました。2011年には購読を始めていたと思いますが、新聞は開かないことが多かったというぐらいで、それらしい調査報道キャンペーンの記事というのも記憶にありません。
取材班は、美香さんの幼少時や日常の言動、さらには本人が法廷で「刑事を好きになって(虚偽の)自白をした」と述べていることなどに着目し、美香さんには「発達障害」があることを明らかにしようとした。
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調査報道とされる事件は、清水潔氏の桶川ストーカー事件や長野智子氏らによる御殿場事件ぐらいで関東のイメージしかなかったのですが、滋賀は関西で、大阪高裁の管轄でもあります。中日新聞は名古屋が本社なので、関西での取材というのも多少違和感は感じていました。名古屋から地理的に近いことはわかっています。
小出医師は、手紙のやりとりや刑務所内での面会を通じて美香さんと接触を重ね、「発達障害のほかに軽度知的障害と愛着障害の可能性がある」と指摘。新証拠となる鑑定への道を切り開いていく。
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この精神科医の話も初めて知ったように思いますが、ちょうど今朝になるのか、札幌で娘の殺人事件に関与した父親が精神科医というニュースを見かけていました。余り記事を読んでいないニュースなので詳しくは知らないですが、切断した頭部を持ち帰るという異様な事件で、父親が事件現場のホテルへの送り迎えをしたような話もありました。
「ニュースを問う」という大型特集でのキャンペーンが始まったのは、鑑定結果が出た後の2017年5月。それ以降、この欄での連載は40回を数え、矛盾に満ちた捜査とそれを見過ごしてきた検察・裁判所に焦点を当てた報道を続けた。
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本の写真の下に「秦氏の著書「冤罪をほどく “供述弱者”とは誰か」(風媒社)。2022年の講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞した(写真:フロントラインプレス)」とあります。この本のタイトルも余り記憶にないですが、「中日新聞編集局」という部分がより珍しく感じられました。
先ほどの表にも下に「フロントラインプレス」とあって、Web製作の技術的なサイトなのかと思い調べたのですが、予想とは違ったもので、以前に読んだことのあるような記事も一覧にありました。
「発達障害の知識を共有できない社会が、どんな結果をもたらし、どんなふうに個人を苦しめているのか。その負の側面を示す好例でした。そうした人たちはいわば、本人も障害に気づかず、周囲にも気づかれにくい“グレーゾーン”と呼ばれる層にいます。そこに社会はきちんと向き合えていなかったわけです。
彼らが事件の被疑者として取り調べを受ける立場になってしまうと、迎合的になったり、虚偽を口にしたりしかねません。私たちはそれを“供述弱者”と名付けました。真実を自分の言葉でうまく伝えられない供述弱者は間違いなく存在する。
しかも密室で自白を強要する捜査は今も改まっていないため、障害のある人たちはひとたまりもありません。また、障害がなくても現在の捜査手法のもとでは、誰もが密室の中で供述弱者にされてしまうのです」
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警察は話を聞いてくれるだけ、弁護士よりはるかにましで改善の余地もありそうに考えています。
「昔と比べて、今はツールが高度化し、情報は入手しやすくなっています。マスコミの衰退も目立ち、産業としての先行きも危ぶまれています。そんななかで、組織の壁を超えて共同で取材する枠組みがあったら、埋もれた事実を明らかにできる事柄がたくさんあるはずです。そして新たな報道機関も生まれるのではないかと期待しています」
取材:板垣聡旨/高田昌幸=いずれもフロントラインプレス(Frontline Press)所属
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5ページ目で終わったようですが、たまに、最初に1ページから5ページ目までの表示で8ページ目ぐらいまで続く記事があります。
弁護士の話は出てこなかったように思いますが、この湖東記念病院事件では、ずっと前から気になっていたことがあって、冤罪被害者となった元看護助手の女性は、拘置所での拘禁中あるいは刑務所での服役中に、知的障害のような状態になったのではという可能性です。
ちょうど金沢刑務所の拘置所で週刊誌を読んでいた時期で、平成5年辺りの可能性が高いと思いますが、医療過誤など裁判で病院の法的責任が問われる風潮が極めて強かったと記憶にあります。
医療現場での過失で患者に被害を与え、病院が法的責任を追求されるリスクを軽視して、看護助手の採用をしていたとも考えにくいところです。
一審や控訴審、最高裁の弁護人が、国選だったのか私選だったのかも不明ですが、まともな対応をしていれば、公訴の取り消しとなっていた可能性があるようにも思える事件です。
- 経産省、規制対象外の可能性「何度も伝えた」 起訴取り消し事件:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR756RDMR75UTIL02Y.html
- 「大川原化工機」起訴取り消し裁判 捜査員が当時の対応批判|NHK 首都圏のニュース https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230630/1000094344.html
Googleで「公訴 取り消し」を調べると、最近、弁護士反応が活発だった事件が出てきましたが、「起訴取り消し」となっています。「公訴棄却を求める」という主張は、平成11年の安藤健次郎さんに対する傷害事件で告発人廣野秀樹が行っていたと被告発人小川賢司裁判官の裁判書にもありました。
法的には同じなのかもしれないですが、公訴の取り消しと起訴の取り消しは、ずいぶん違いがあるように思えます。なお、湖東記念病院事件での公訴の取り消しの可能性というのは、告発人廣野秀樹の独自の見解で、他にそれらしい意見を目にしたことはありません。
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